最期に納得できる在宅医療を!
今回は、在宅医療、訪問診療の”本質”を多くの方に知って頂きたい!
まだまだ、在宅医療や訪問診療について多くの誤解がある!
と感じることが多く、ブログを書いてみました。
当院が開業した2007年当時、よく言われたことは、
在宅診療所ってなに?
訪問診療ってなに?
普通の診療所とどう違うの?
診療所内のつくりは普通の診療所と違うんだね!
かぜをひいてしんどくなったら、往診をしてくれるの?
などでした。
それから12年経った現在でも、診療所には「もみじ診療所にかかったことは無いのですが、いま調子がわるいので今日だけ往診に来て下さい。」
といった依頼が時々あります。
ご依頼を頂くのは当院にとってもありがたい事なのですが、
何の医療情報も無く初めての患者さんを自宅に訪問してできることは、
在宅医療に関してはほとんど無いのです。
結局、当院の外来にお越し頂くか、
検査の充実した病院での救急受診が必要であることをお話しさせて頂いています。
当院の在宅医療の経験からは、
- 少なくとも2週間に1回程度は顔を見て診察しなければ、現在の患者さんの病状は把握できず、信頼関係も生まれにくい。
- 人生の最終段階における医療、ケアの決定(リビングウイル)については、医師と患者の信頼関係がなければ相談することもできない。
- 上記の条件が満たされなければ、病状変化時や緊急時の対応がうまくできず、自宅での療養継続、看取りはかなわない。
- バイタルチェックや処方箋配りは在宅医療の一部ではあるが、本質では無い。
- どこでどう過ごし、どのように最期を迎えるかを医師と患者さん、ご家族が相談する。最期を迎えた後に、その死に納得できる、満足できる在宅医療を目指したい。
と思っています。
最期に少し、
”コンビニ在宅医療”という言葉を最近耳にします。
患者さんの立場を考えて施そうとする本来の意味の在宅医療とは反対で、業務として効率の良い在宅医療を施そうとする立場の在宅医療です。
国の在宅医療の基本ルールは、
- 外来通院困難な方に対して、自宅に訪問、診療すること。
- 訪問診療は、定期的に、計画的に行う事。
- 病状の変化時などは、いつでも連絡がとれるようにしておくこと。
- 必要時には、往診などを行い対応する事。
と定められています。
ルールとしては、上記の条件をみたせば、在宅医療の診療報酬を得られます。
このため、効率の良い”コンビニ在宅医療型”の診療所が、最近多くなりつつあります。
コンビニ在宅医療には、以下の特徴があります。
定期的に訪問するものの、毎回違った非常勤ドクターがパート医として訪問。
夜間、休日の非常時は複数の医療機関でつくる”コールセンター”が患者さんからの連絡をうけて、そのあと日頃患者さんを診ていないドクターが対応する。
人生の最終段階における医療、ケアの決定(リビングウイル)についての話が普段から全くない。
「どんな在宅患者さんでも断りません、いつでもすぐに在宅医療を行います。」
など、聞こえの良いキャッチフレーズを聞くと、少し怪しいかなと思います。
”悪貨は良貨を駆逐する” 状況に在宅医療が進んでいかないことを強く願っています。