もみじのひと言

在宅医療ってとても奥が深い!院長として長い間在宅医療に関わるなかで、日々感じることを書いています。

在宅医療ってなに?

 今回は、在宅医療について書いてみたいと思います。

 

 今年で、もみじ在宅診療所を開設してから11年になります。

”もみじ在宅診療所” の名前の通り、当院は ”在宅医療” から始まりました。

今でも、在宅医療は当院の ”ソウル(魂)” とも言うべき中心の仕事です。

 

 

  2007年6月に当院を開設したのですが、

私自身その数年前まで、在宅医療というものをあまり良く知りませんでした。

在宅医療を知ったきっかけは、”訪問入浴サービス”というものに出会った事でした。

 

 

 2005年ごろ、妻が訪問入浴サービスのアルバイトを始めたのです。

訪問入浴とは介護保険のサービスで、

自宅のベッドのそばまでバスタブを持って行って、

患者さんに入浴して頂くサービスです。

 

仕事のメンバーが和気あいあいとしていた事や、

時給が良いという事もあり、

毎日楽しそうに訪問入浴サービスのアルバイトに行っていました。

 

当時、よく妻は仕事のお話をしてくれました。

「あんなことがあって・・・」

「家に行ったらこんなおじいさんがいて・・・」

「入浴しようとしたら、熱があって・・・」 などなど。

 

あるとき、

家に行ったら、おじいさんの調子がとても悪かったそうです。

熱があって、呼吸がしんどそうで、入浴は無理かな?

でも、放っておいたら心配な感じ!

 

そのとき、ご家族はかかりつけの在宅診療所に連絡したそうです。

「今の調子は、ああで、こうで・・」と先生に説明し、

重症なのに、時に笑顔でやりとりをしていた様でした。

 

結局、

「今はこの薬をつかって様子をみてていいよ。

また、調子が悪くなればいつでも連絡していいから。」

との事で、ご本人も家族も大変安心したそうです。

 

その後も同様の患者さんが何人もおられて、

いつも同じ在宅診療所に連絡をしていたそうです。

 

「調子が悪かったら、すぐに電話で相談できる在宅の先生がいるんだって!」

「調子が悪くても病院は嫌っていう人がこんなにいるんだ!」

と妻と話し合った事を覚えています。

 

 その在宅診療所が大阪市にあること、

数百人という多くの在宅患者さんを受け持っていることを知り、

それから数ヶ月後、私は通っていた大学院を辞めました。

初めて本格的な在宅医療を知り、勉強するため、

その在宅診療所にお願いし勤務させて頂きました。

そこでの数年間の経験が、今の当院の在宅医療の原動力になっています。