もみじのひと言

在宅医療ってとても奥が深い!院長として長い間在宅医療に関わるなかで、日々感じることを書いています。

自己紹介3

医師になって2~3年目。

まだ右も左も分からない時に、ある大阪城の近くの市中病院に配属されました。

今回も、そのときのお話です。

 

 

数多くの先輩や同期の研修医が集まっている病院で、

当時、私は研修医として内科、外科、消化器外科を中心に勉強を行っていました。

 

まずは、

一般の風邪や熱がでた、胸やお腹が痛い、咳がでる、湿疹が出来た 等々から、

血痰や血便、レントゲンでの異常影など・・・

よく病院で見かける疾患を毎日たくさん経験します。

 

 

その中でも、”急性腹症” と呼ばれる疾患は 多くの研修医にとって

最も恐ろしい、しかし興味のあるものでした。

 

急性腹症とは、

" 急激に起きる腹痛を主訴とし,短時間内に手術を含めた治療方針を決定する必要がある腹腔内疾患 ” 。

 

「お腹が痛い」

といって病院に来られた方の大部分は、風邪や胃腸炎であったりするのですが、

中には本当に重症で、すぐに入院、手術になってしまう患者さんもおられるのです。

 

代表的な物は、急性虫垂炎(もうちょう)、膵炎、胆のう胆管炎、腸閉塞、癌、心筋梗塞、婦人科疾患・・・

様子をみているだけでは

翌日には急変することもある病気の総称を 急性腹症 と呼んでおり

ものすごく恐ろしい反面、研修医時代に必ず乗り越えなければならないものでした。

 

 

当時、

所属していた内科や外科の先生は、急性腹症については完全にマスターしていました。

1年上のA先輩やB先輩も。

 

これらの先生方は

腹痛の患者さんのお腹を触診するだけで、おおまかに

重症急性虫垂炎などが分かるようで、当時はまるで手品を見ているようでした。

 

 

それからは、腹痛の患者さんが院内にいれば、すぐに飛んで行く。

救急で腹痛の患者さんが来れば、すぐに飛んでいく。

その後、必ず何の病気であったのかを担当の先生に確認しに行く。

手術になったときに入れるように、ほぼ毎日病院に泊まり込む。

 

これらのことを2年間ほどくり返していました。

 

毎日病院に泊まり込む生活を続け、

外科や内科の先生、放射線科の先生には

金魚のふんのようにつきまとったりしながら、

最終的には、急性腹症はきちんと診断できる医者

になれた様な気がします。

 

 

今でも、

もみじ在宅診療所の外来や

お手伝いに行く市民病院の救急外来にも、時に急性腹症の患者さんが来られます。

 

あのときの、むちゃくちゃとも思える研修生活がなければ、

今の自分はなかったのかな、と思っています。